染色の世界へようこそ

型染めは一般的に、糊で防染した場所以外に、顔料や染料を生地に刷毛ですり込んでいきます。 現在染色の多くは化学染料を用いて染めています。

工芸品としての染色をイメージした場合、染めは草木などの天然の色素を使っていると思われがちですが、草木などから抽出した(不純物の多い)染料を使うよりも、合成した染料の方が発色や耐光性などに関して有利な点が大きいのです。

(それでも日光に当てれば確実に退色します。染めに限らず色を扱うものにとっては一番の悩みの種ですね。況してや微妙な色や様々な素材を使う手染めの作品となると、耐久性や耐光性においては良くできた工業製品にはなかなか太刀打ちできないのが現状です。)

草木染といえば「藍染め」と言うほど代表的な「藍」です

発酵させて深い色合いを出す藍染めは藍の専門家にかないませんが、刈り取ってすぐに染める生葉染め(ご家庭でも簡単!)でもいい色がでます。ちなみに写真(左)は庭にこぼれた種から雑草のごとく生えているタデアイです。

右に写っているのは「ススキ」ですが、これも染められます。(このススキは刈り取って煮出しちゃうなんてもったいなくてできない品種ですが)


栗と茜の根の乾燥。

左上が栗の毬。その右が鬼皮。下が茜の根。

これらから染料を抽出するためには、まず煮ます。何回か煮出すこともできます。1番汁、2番汁という感じです。お茶と一緒ですね。

栗の毬から抽出した染料で染めたものが右の生地です。
正確には、使用する媒染剤によって色は様々に変わります。(毬から抽出された成分と媒染剤の金属とで錯体を作り発色します)。もちろん生地によっても色は異なってきます。

(注:モグラは一緒に煮出しません)

茜の根

茜の根で染めた生地が右の反物。
その名のとおり鮮やかな茜色です(本当はもちょっと暗赤色よりかな?)
これも染め方によって様々な色になります。

(注:モグラは一緒に煮出しません)

2000年12月、市場良子個展より。

左が栗の毬、真中が化学染料、右が茜の根。
こうして見ても実にいい色がでますね。