天然の染料により染めることを草木染めと呼んでいます。が、本来は本染めと言うらしいです(商標登録されています)。
草木染めはまず草木から色素を抽出します。
簡単にいえば煮出します。
煮出した汁に生地を放り込みます。
適度な温度と時間により生地に染み込ませます。
ここに何か職人ならではの一子相伝ノウハウが隠れていそうな感じがするかもしれませんが、錯覚です(個人的見解)。
いい加減でも『いい加減』に染まります。誰でも。もちろん個々人工夫はあるでしょう。
プロはプロなりのこだわりも当然あるでしょう。
さて問題はここから。
食べ物の染みこぼしは洗えば(完璧じゃないけど)落ちます。
草木の煮汁もこのままでは洗えば(食べ物の染みの如く)落ちます。
落ちないように(正確には落ちにくく)するために、媒染を行います。
また、媒染によって、なんだか寝ぼけたような染みが、鮮やかな染めへと変身します。
草木染めは自然の材料をそのまま使うので、条件を一定に保つことが難しいです。
良く言えば、その時々で様々な色を染めることができる、悪く言えば同じ色を染めたくてもなかなか同じものができない(再現性が悪い)。(それが草木染めの面白さと言うこともできるけど・・・)
季節や環境によって植物に内包される色素の量等は違ってきます。
よく蕾を作る前が一番抽出するにはいいころと言われます。(高齢の牛肉羊肉よりも若い肉の方がおいしいようなもん。とは違う?)
ぶっちゃけ、同じような色は合成染料で再現できると思うけれど、草木染めというとそれだけでありがたみを感じさせることができる現代におけるマジックだと、個人的には思うわけです。
とは言っても、あのびみょーな混ざり具合の色は(多分に様々な不純物による影響であろう濁り具合の)、狙って出すのも面倒なことは確かで、草木染めならではの色のバリエーションと風合いと偶然性、そして「伝統」には、それなりの価値はあると思います。
参考資料
自然の色を染める 家庭でできる植物染
かなり具体的な染め方が丁寧に解説されています。吉岡さん監修。